今、友人がメキシコに送ってくれた本を読んでます。宮本 輝の「錦繍」。
最初に出てくる山形の蔵王・ドッコ沼の風景。その風景には私の思いでも重なるんです。 ゴンドラを乗って上に着くと、ドッコ沼は右の方向に歩いていきます。中央ゲレンデの方ですよね。ゴンドラの駅からドッコ沼に続く道の中間に、昔NHKの保養所だった建物がある。ドッコ沼のちょっと手前。今でも残っているだろうか。 そこは私の祖父母が長年に渡って働いていた場所で、小さい頃、妹と私、祖父母が過ごした場所だった。 夏。外で食べたジンギスカンとそうめん。カゴいっぱいにつめこんだトンボ。夜、山からご飯を食べに出てきたタヌキ。 冬。目の前のゲレンデで、仕事の合間に付き合ってくれたソリ乗り。じいちゃんの木のスキーを嫌がった私。その後スキーしてて人に突っ込んでいって、目を腫らしたこと。スキー靴やスキーを乾かす部屋のもわっとした匂い。 台所から地下の食料庫に続く階段。防空壕みたいですごく怖かった。廊下に置かれていたちょっと不気味な木の人形。お風呂場に置かれていたレモンの形の石鹸とケロリンの風呂桶。 その後祖父母は、ドッコ沼から見える星になってしまった。 でも、なんでろううか。私の思い出の中に本に書いてあるようなきれいな星は出てこない。 きれいだったに違いないのにね。 なんでだろう。
by naranjosveracruz
| 2005-07-15 08:53
| 日本の家族
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